私たちの日常生活に欠かせない電波について、基礎から分かりやすく解説します。スマートフォンでの通話、ラジオやテレビの視聴、Wi-Fiでのインターネット接続など、電波は現代社会のあらゆる場面で活用されていますが、その仕組みや種類について詳しく知る機会は意外と少ないものです。
この記事では、電波の基本的な概念から始まり、周波数帯による9つのバンドの分類、波長による性質の違い、そして私たちの身の回りで使われている具体的な電波の種類まで、体系的にご紹介します。電波がどのように伝わり、なぜ用途によって異なる周波数が使われるのかを理解することで、普段何気なく使っている通信技術への理解がより深まることでしょう。
1. 電波って何?周波数で決まる電磁波の仲間たち

電波は、電磁波の一部であり、多様な通信手段において欠かせない存在です。この通信波は空間を伝播する電気エネルギーの波であり、その特徴は周波数に依存しています。周波数とは、1秒間に発生する波の数を表し、単位はヘルツ(Hz)です。この周波数が異なることで、電波の使われ方や特性は大きく変化します。
電波の基本的な性質
電波は、電磁スペクトルの広範な範囲に存在し、形状は非常に低い周波数から非常に高い周波数まで多岐にわたります。各周波数帯は特定の用途や特徴を持っており、例えば低周波数の電波は地上を伝播しやすく、遠距離通信に適しています。それに対し、高い周波数の電波は、直進性が強まり、より多くの情報を伝送できる反面、伝播範囲が狭まります。
電波の種類と周波数
以下は、電波を周波数帯ごとに分類したリストです。
- 超長波 (VLF): 3 kHz ~ 30 kHz
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地面の表面に沿って非常に長い距離を伝達できる特性があり、広域な通信に向いています。
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長波 (LF): 30 kHz ~ 300 kHz
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かつては電信に広く使用されていましたが、現代では利用が限られています。
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中波 (MF): 300 kHz ~ 3 MHz
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主にAMラジオで利用され、安定した通信が可能です。
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短波 (HF): 3 MHz ~ 30 MHz
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船舶通信やアマチュア無線などで用いられ、非常に広範囲の通信を実現します。
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超短波 (VHF): 30 MHz ~ 300 MHz
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FMラジオやテレビ放送に多く使われている周波数帯域です。
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極超短波 (UHF): 300 MHz ~ 3 GHz
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携帯電話や地上デジタルテレビ放送に利用されます。
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マイクロ波 (SHF): 3 GHz ~ 30 GHz
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衛星通信や無線LAN、気象レーダーなど特定の用途に適しています。
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ミリ波 (EHF): 30 GHz ~ 300 GHz
- 短距離通信に好適であり、特に気象条件の影響を受けやすい特性があります。
周波数による電波の特性
電波の周波数は直接的に波長と関連しています。一般的に、周波数が低くなると波長は長くなり、高くなると波長は短くなる傾向があります。この性質を元に、通信技術や機器は設計されています。たとえば、AMラジオは長波から中波の電波を使用するため長いアンテナが必要です。一方で、携帯電話のように短波を使用する場合は、短いデザインのアンテナが十分です。
このように、各電波の周波数によって特有の特性や用途が異なり、現代における通信や情報の伝達において不可欠な役割を果たしています。電波についての理解が深まることで、私たちの周囲にある技術やサービスに対する理解も進むことでしょう。
2. 電波の種類を周波数帯で分類!9つのバンドを解説

電波は、その周波数によって多様な種類に分類され、用途に応じて利用されています。ここでは、日本でも広く使われている電波の周波数帯を、主に 9つのバンドに分けて解説します。
1. 超長波(VLF)
- 周波数: 3 kHz ~ 30 kHz
- 波長: 100 km 以上
- 特徴: 地面に沿って進む能力が高く、障害物を回り込むことができます。このため、主に船舶通信などで利用されています。
2. 長波(LF)
- 周波数: 30 kHz ~ 300 kHz
- 波長: 10 km ~ 100 km
- 特徴: 昔の電信用に使われていたが、現在はあまり一般には利用されていません。しかし、長距離通信には適しており、特定の用途には今でも重宝されています。
3. 中波(MF)
- 周波数: 300 kHz ~ 3 MHz
- 波長: 1 km ~ 10 km
- 特徴: 主にAMラジオ放送で使用され、典型的には100 km程度の範囲で信号を安定して伝えます。特にスポラディックE層による反射を利用した通信が可能です。
4. 短波(HF)
- 周波数: 3 MHz ~ 30 MHz
- 波長: 10 m ~ 100 m
- 特徴: 船舶通信やアマチュア無線に多く利用されます。この帯域は、地球の大気圏を利用して長距離通信ができる特性があります。
5. 超短波(VHF)
- 周波数: 30 MHz ~ 300 MHz
- 波長: 1 m ~ 10 m
- 特徴: FMラジオ放送やテレビ放送内容でよく使用されており、建物や山などの遮蔽を回避する特性があります。また、高い分解能が求められる映像通信にも適しています。
6. 極超短波(UHF)
- 周波数: 300 MHz ~ 3 GHz
- 波長: 10 cm ~ 1 m
- 特徴: 小型のアンテナで信号を送受信できるため、携帯電話や地デジ放送に利用されることが多いです。これらの波は障害物に対しても一定の強度を保つことができます。
7. マイクロ波(SHF)
- 周波数: 3 GHz ~ 30 GHz
- 波長: 1 cm ~ 10 cm
- 特徴: 直進性が強く、主に衛星通信や無線LAN、気象レーダーに利用されます。雨などの降水による信号の減衰があるため、特にその影響を受けやすい帯域でもあります。
8. ミリ波(EHF)
- 周波数: 30 GHz ~ 300 GHz
- 波長: 1 mm ~ 1 cm
- 特徴: 短距離通信に用いられることが多く、主に簡易無線などで使われています。高い周波数ゆえに、雨や湿気の影響を大きく受ける点が注意点です。
9. サブミリ波(THF)
- 周波数: 300 GHz 以上
- 波長: 1 mm 以下
- 特徴: 通信用としてはほとんど利用されていないが、特定の研究で注目されています。高周波数のため、通常の通信には不向きであり、特殊な設備が必要です。
このように、電波の種類は周波数によって様々な特性を持ち、それに応じて多くの用途に利用されています。高周波数は高い情報伝達能力を持つ一方で、低周波数の電波は長距離通信に適しています。それぞれの電波の特性を理解し、適切な用途に応じて利用することが重要です。
3. 長波・中波・短波…波長の違いで変わる電波の性質

電波はその波長によって大きく長波、中波、短波に分類されます。これらの波長の違いは、電波がどのように伝播し、どのような用途で利用されるかに深く関わっています。以下では、各種類の電波の特性について詳しく見ていきましょう。
長波(VLF、LF)
長波は非常に低い周波数帯域に位置しており、最も波長が長い電波の一種です。具体的には、以下の特徴があります。
- 周波数帯: 3 kHzから30 kHz
- 波長: 100km以上
- 伝播特性:
- 地面に沿って進みやすく、山や建物を回り込む能力が高い
- 長距離伝播が可能で、障害物に強い
- 利用例:
- 航空機や船舶との通信、特定の長距離ラジオ放送
長波はその特性から、主に通信用途に利用され、特に悪天候や障害物が多い地域でも効果的に情報を伝えることができます。
中波(MF)
中波は、音声通信がメインの周波数帯で、AMラジオ放送などで広く使用されています。具体的な特徴は以下の通りです。
- 周波数帯: 300 kHzから3 MHz
- 波長: 1km程度
- 伝播特性:
- 安定した伝播が可能で、約100kmの範囲で受信できることが多い
- 電離層に反射して遠距離通信ができる
- 利用例:
- AMラジオ放送、緊急情報の伝達
中波は、音質が良好で長時間の聴取に適しているため、今なお多くの地域で使用されています。
短波(HF)
短波は、より高い周波数を持ち、主に国際通信で使用されることが多い電波です。以下の特徴があります。
- 周波数帯: 3 MHzから30 MHz
- 波長: 100m程度
- 伝播特性:
- 電離層によって反射されるため、非常に長距離の通信が可能
- ビルや山の影響を受けにくい
- 利用例:
- 海上通信、アマチュア無線、国際ラジオ放送
短波は、地球規模の通信が可能であり、様々な言語や文化の情報が行き交う場となっています。
これらの波長の違いは、電波が持つ伝播能力や情報容量、そして通信手段に直結しており、私たちの日常生活においても欠かせない存在です。波長の理解が進むことで、各電波の特性や利用法をより効果的に活用することが可能になります。
4. 身近な電波はどれ?AMラジオから携帯電話まで

私たちの生活の中で、多くの電波が使用されています。特に、AMラジオや携帯電話は、身近な存在として私たちの日常に欠かせないものです。それぞれの電波の特徴を理解することで、より快適に利用できるようになります。
AMラジオ
AMラジオは、中波(MF)という周波数帯を利用しています。具体的には、300kHzから3000kHzの範囲で、主に以下の特性があります:
- 安定性: 中波は比較的安定した伝達が可能で、長距離の電波伝送に適しています。
- 広がりやすさ: 地表面を這うように進むため、ビルや山の陰でも受信しやすいのが特徴です。
- 大サイズのアンテナ: AMラジオ放送には、大きなアンテナ(高さ百メートルを超える鉄塔)が必要です。
AMラジオは、遠くの地域まで届く放送を提供する一方で、音質はFMラジオと比べて劣る場合があります。特に、電波が障害物に当たると反射する性質を持っているため、信号が乱れやすいこともあります。
FMラジオ
FMラジオは、超短波(VHF)を使用し、88MHzから108MHzの範囲で放送されています。FMラジオの特性は以下の通りです:
- 高音質: FMは波形の変調方法により、クリアな音質を実現しています。
- 短距離伝播: 直進性が強く、ビルや山の影では受信しづらいですが、見通しの良い場所では高品質の受信が可能です。
携帯電話
携帯電話は、UHF(極超短波)帯(700MHz~28GHz)を利用しています。現代のスマートフォンは、高い周波数を用いることで、以下の利点があります:
- 多くの情報伝送: 高い周波数では、電波に乗せられる情報の量が大きくなります。
- 小型アンテナ: スマートフォン内に組み込まれたアンテナは数センチメートルとコンパクトです。
- 通信速度: 4Gや5Gといった新しい通信技術により、高速データ通信が可能です。
生活の中での電波の役割
これらの電波は、私たちの生活に多くの利便性を提供しています。AMラジオは情報の発信源として、FMラジオは音楽や娯楽を提供し、携帯電話はコミュニケーションの手段として欠かせない存在です。周波数や特性を理解することで、それぞれの電波をより効果的に活用することができます。
5. 周波数が高い・低いで何が変わる?電波の伝わり方の違い

電波の周波数が高いか低いかによって、電波の特性やその伝わり方には大きな違いがあります。この違いは、さまざまな用途や通信方式に影響を与えています。
周波数が低い電波の特性
低い周波数の電波は、主に以下のような特徴があります。
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長い波長: 低い周波数は波長が長いため、地面に沿って進むことが容易で、障害物を回り込む能力が高いです。この特性により、建物や山の陰でも受信しやすく、長距離での伝送に適しています。
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伝送容量の制限: 情報を乗せられる量が少なくなるため、データ通信には不向きです。例えば、AMラジオ放送(531~1602kHz)は、低周波数帯域を使用していますが、音声信号の伝送には適しているものの、デジタルデータの高速度通信には限界があります。
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大型アンテナ: 低い周波数ではアンテナの寸法が大きくなる傾向があり、設置には広いスペースが必要とされます。
周波数が高い電波の特性
一方、高い周波数の電波には以下のような特性があります。
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短い波長: 高周波数は波長が短く、直進性が強化されます。これにより、信号は障害物の影響を受けやすく、建物や山などの陰では受信しにくいです。
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高い情報伝送量: 高周波の電波は情報を大量に乗せることができるため、通信速度が速いです。たとえば、スマートフォンが使用する周波数帯(700MHz〜28GHz)は、データ通信に適しており、動画のストリーミングやアプリのダウンロードなど、高速な通信サービスを支えています。
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小型アンテナ: 高頻度帯域においては、アンテナのサイズが小さくなるため、コンパクトなデバイスへの組み込みが可能となります。
伝わり方の違いと実用例
特性の違いは、具体的な利用例にも表れます。
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AMラジオ(低周波数): 建物や山に強い影響を受けず、広範囲に電波を送信できることから、地元のニュースや音楽が地域全体で聴取されています。
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携帯電話(高周波数): 高速通信を可能にするため、通話だけでなく、インターネットやアプリケーションの利用まで、日常的に活用されています。ただし、これらの信号は障害物の影響を受けやすく、電波の届かない場所では通信が困難になることがあります。
このように、周波数が高い・低いことで電波の伝わり方が異なり、それぞれの特性を理解することで、最適な利用方法を選ぶことが可能になります。
まとめ
電波は私たちの生活に欠かせないものであり、その種類や周波数によって様々な特性を持っています。低周波数の電波は長距離通信に適し、障害物への強さが特徴です。一方で、高周波数の電波は情報伝送量が多く、高速通信が可能です。しかし、直進性が強いため建物の陰では受信しづらくなります。これらの電波の特性を理解し、用途に応じて適切に活用することで、私たちの生活をより快適なものにすることができるでしょう。電波技術の発展とともに、私たちの生活も豊かになっていくことが期待されます。
よくある質問
電波とは何ですか?
電波は電磁波の一種であり、通信に不可欠な存在です。周波数によって特性が大きく異なり、低周波数の電波は地表を伝播しやすく、長距離通信に適していますが、高周波数の電波は直進性が強く、高速データ通信に向いています。電波は私たちの日常生活に深く関わっており、AMラジオやスマートフォンなど、さまざまな用途で活用されています。
電波の種類は何がありますか?
電波は周波数によって9つのバンドに分類されます。超長波、長波、中波、短波、超短波、極超短波、マイクロ波、ミリ波、サブミリ波です。それぞれの周波数帯域には特有の特性があり、用途に合わせて使い分けられています。例えば、中波はAMラジオに、極超短波は携帯電話に利用されています。
長波、中波、短波の違いは何ですか?
長波、中波、短波は、電波の波長の違いによる分類です。長波は波長が非常に長く、地表を這うように伝播するため遠距離通信に適しています。中波は音声通信に適しており、AMラジオに利用されています。短波は電離層で反射して長距離通信が可能で、船舶通信やアマチュア無線などで使われています。これらの違いは電波の特性と用途に大きな影響を与えます。
周波数が高いと低いとでどう変わりますか?
電波の周波数が高いほど、波長は短く直進性が強くなります。一方で低周波数の電波は波長が長く、地表を這うように伝播し、障害物を回り込む能力が高くなります。高周波数の電波は情報伝送量が多く、高速データ通信に適していますが、建物の影響を受けやすくなります。低周波数の電波は長距離通信に向いていますが、情報量が制限されます。この違いにより、用途に応じて周波数帯を使い分けることができます。