現代社会において、私たちの生活に欠かせない電波。スマートフォンでの通話、Wi-Fiでのインターネット接続、ラジオやテレビの視聴など、日常的に電波の恩恵を受けているにも関わらず、電波の種類や特性について詳しく知る機会は意外と少ないものです。
実は電波には、周波数によってさまざまな種類があり、それぞれが異なる特性を持っています。低い周波数の電波は遠くまで届きやすく、高い周波数の電波は大容量の情報を高速で伝送できるなど、用途に応じて最適な電波が使い分けられています。
この記事では、電波の基礎知識から始まり、周波数帯による分類方法、低周波数帯と高周波数帯の違い、そして私たちの身近な機器で使われている電波の種類まで、わかりやすく解説していきます。電波に関する法律やルールについても触れるので、電波について総合的に理解を深めることができるでしょう。
1. 電波の種類を知る前に押さえておきたい基礎知識

電波の種類を理解するためには、まず「電波」とは何かについて基礎的な知識を身につけることが大切です。電波は、電磁波の一種であり、周囲を伝わるエネルギーの波です。この電磁波は、周波数によって異なる性質を持ち、用途も多岐にわたります。
電波とは?
電波は、周波数が3Hzから300GHzの範囲に存在する電磁波であり、この範囲の電波を利用して、私たちは日常的に通信を行っています。電波の周波数は、1秒間に何回の波が繰り返されるかを示すもので、単位はヘルツ(Hz)です。周波数が異なることで、電波の性質や伝播の仕方、情報伝達の可能性も変わります。
周波数と波長の関係
電波には、波長と周波数という2つの重要な物理的な性質があります。これらは次のような関係にあります。
- 波長が長い(低周波数):
- 地面に沿って進みやすく、山やビルの陰を回り込むことができます。
-
遠距離まで信号を送ることが可能ですが、伝送できる情報量は少ない。
-
波長が短い(高周波数):
- 直進する性質が強く、障害物の影響を受けやすいです。
- 高速かつ大容量の情報を伝送できる可能性がありますが、その伝播距離は制限されます。
電波の分類
電波はその周波数帯によって以下のように分類されます。
- VLF(超長波)
- 周波数:3kHz〜30kHz
-
特徴:長距離伝播が可能、地表面に沿った伝播。
-
LF(長波)
- 周波数:30kHz〜300kHz
-
特徴:昔の通信に使用されており、現在はあまり利用されていない。
-
MF(中波)
- 周波数:300kHz〜3MHz
-
特徴:AMラジオなどで利用され、比較的安定した通信。
-
VHF(超短波)
- 周波数:30MHz〜300MHz
-
特徴:FMラジオやテレビ放送で幅広く利用。
-
UHF(極超短波)
- 周波数:300MHz〜3GHz
-
特徴:携帯電話や地上デジタルテレビ放送に利用される。
-
SHF(マイクロ波)
- 周波数:3GHz〜30GHz
- 特徴:衛星通信や無線LANに適している。
このように、電波の種類によってそれぞれの用途や特性が異なるため、適切な利用法を理解することが重要です。電波の基礎知識を理解することで、日常生活にどのように活かされているのかをより深く理解できるでしょう。
2. 周波数帯で見る電波の種類と分類方法

無線通信において、電波の特性は主にその周波数によって決まります。各周波数帯は、それぞれ特定の用途や環境に適するように選定され、明確に分類されています。本記事では、電波の種類や特徴について、主要な周波数帯ごとに詳しく解説します。
低周波数帯(LF・MF)
- LF(低周波)
周波数範囲: 30kHz ~ 300kHz
特徴: - 長波長特性: この特性により、建物や地形の影響を受けにくく、長距離通信が得意です。
-
使用例: AMラジオ放送や航空運航に広く用いられ、過去には電信通信にも使用されていましたが、現在ではその利用は少なくなっています。
-
MF(中波)
周波数範囲: 300kHz ~ 3MHz
特徴: - 音質の安定性: AMラジオでの使用により、常に安定した音質を提供します。
- 通信距離: 自然現象であるスポラディックE層を活用し、最大約100kmの範囲で信号を届けることができます。
高周波数帯(HF・VHF・UHF)
- HF(高周波)
周波数範囲: 3MHz ~ 30MHz
特徴: -
短波通信能力: 短波ラジオや国際通信に利用され、電離層を反射する際に信号を世界の反対側まで届けることが可能です。
-
VHF(超高周波)
周波数範囲: 30MHz ~ 300MHz
特徴: - 多目的利用: FMラジオ、テレビ放送、業務用無線など幅広い分野に対応しています。
-
通信範囲: 山や建物を避けて信号を伝送できるため、市街地においても効率的な通信が可能です。
-
UHF(極超高周波)
周波数範囲: 300MHz ~ 3GHz
特徴: - コンパクトなデバイス: この帯域は携帯電話や地上デジタルテレビに利用され、小型機器での通信を実現します。
- 直進性の制約: 障害物の影響を受けやすいため、水平方向での見通しが良い通信に限定されることが多いです。
超高周波数帯(SHF・EHF)
- SHF(マイクロ波)
周波数範囲: 3GHz ~ 30GHz
特徴: - 高速データ通信: 衛星通信や無線LAN、気象レーダーなどに使用され、高速かつ大容量のデータ通信が実現されています。
-
気象条件の影響: 雨や水蒸気による信号の減衰が大きく、天候の影響を受けやすいです。
-
EHF(ミリ波)
周波数範囲: 30GHz ~ 300GHz
特徴: - 短距離通信: 簡易無線に多く使用されていますが、高周波のため特別な技術が必要です。
- 遮蔽物に対する脆弱性: 雨による信号減衰が顕著であり、使用する環境の選定が重要になります。
このように、電波の種類はその周波数帯により大きく異なります。各周波数帯の特性を理解することで、無線通信の効率を最大限に高めることが求められます。それぞれの特性をしっかりと把握し、適切に活用することが重要です。
3. 低周波数帯と高周波数帯、それぞれの特徴と違い

無線通信において、電波はその周波数によって異なる特性を持ち、さまざまな用途に応じて使い分けられています。特に低周波数帯と高周波数帯には顕著な違いが見られます。ここでは、それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
低周波数帯の特徴
低周波数帯(LF、MF、HF)の電波は、一般的に以下のような特性を持っています。
- 長い波長: 低周波数帯の電波は波長が長いため、地表に沿って進む性質が強く、障害物を回り込むことが容易です。
- 届く距離が長い: 山や建物の陰でも信号を受信しやすく、遠距離通信に適しています。この特性は、海上での船舶通信や航空機の通信にも利用されています。
- 大きなアンテナ: 低周波数の電波では情報の伝送容量が制限されるため、必要なアンテナのサイズが大きくなります。たとえば、AMラジオ放送で使用されるアンテナは高いものが多く、100メートルを超えるものもあります。
- 情報量の制約: 低周波数帯では一度に伝送できる情報量が小さく、高速通信には不向きです。
高周波数帯の特徴
高周波数帯(VHF、UHF、SHF、EHF)の電波は、次のような特性があります。
- 短い波長: 高周波数帯は波長が短く、直進性が強いという特徴があります。これにより、信号が距離を移動する際、視線が通る範囲に限られます。
- 高速・大容量通信: 高い周波数では、一度に多くのデータを迅速に送ることができます。このため、携帯電話やWi-Fiなど、デジタルデータ通信に使われています。
- 小型アンテナ: 高周波数帯の電波は、必要とされるアンテナサイズが小さくなるため、スマートフォンのようにコンパクトなデバイスでも使用可能です。特に、数センチメートルの小型アンテナが採用されています。
- 障害物に弱い: 高周波の電波は壁や木々、ビルなどの障害物を透過する能力が低いため、通信範囲が狭まり、大規模な通信インフラの構築が必要になる場合があります。
それぞれの利用分野
- 低周波数帯:
- 海上での通信やAMラジオ放送
- 航空機のナビゲーション
-
地上からの超長距離通信
-
高周波数帯:
- 携帯電話通信(UHF、SHF)
- テレビ放送やFMラジオ
- Wi-FiやBluetooth
このように、低周波数帯と高周波数帯は、それぞれ異なる特徴を持ち、特定の用途に最適化されています。この知識は、日常生活における様々な無線通信の理解を深める手助けとなります。
4. 身近な電波の種類|スマホ・Wi-Fi・ラジオで使われているのは?

我々の生活においては、数多くの無線通信技術が活用されており、さまざまな「電波の種類」が利用されています。このセクションでは、特に身近で利用されるスマートフォンやWi-Fi、そしてラジオの電波について詳しく解説します。
スマートフォンで使われる電波
スマートフォンは、いくつかの異なる周波数帯の電波を活用しています。主なものは以下の通りです。
- 700MHz〜3GHz:この範囲は、モバイル通信で非常に一般的に使われています。特に800MHz帯は「プラチナバンド」と称されており、建物内部での通信も安定して行うことが可能であり、長距離通信にも適しています。その一方で、2GHz帯以上の周波数はデータ通信速度が非常に速いですが、障害物によって受信感度が影響を受けやすい特徴があります。
Wi-Fiとその周波数帯
Wi-Fi通信では、主に次の二つの周波数帯が使用されています。
- 2.4GHz帯:
- 障害物を透過しやすく、広範囲での通信が可能です。
-
家庭内での利用に最適ですが、同じ周波数を使用するデバイス(例えばBluetooth機器や電子レンジ)との信号干渉が発生しやすく、混雑すると通信速度が低下する可能性があります。
-
5GHz帯:
- 高速かつ大量のデータ通信が可能で、その利点があります。
- 障害物に対する耐性が比較的低いため、通信範囲が狭くなりますが、オンラインゲームや動画再生など高帯域を必要とする用途には特に向いています。
ラジオ放送の電波
ラジオ放送においては、下記の周波数帯が活用されています。
-
LF(Low Frequency)とMF(Medium Frequency):これらはAMラジオに使用され、特にMF帯は530kHzから1700kHzの範囲で広く利用されています。波長が長いため、建物や地形の影響をあまり受けず、遠方にもしっかりと信号を届けることができます。
-
VHF(Very High Frequency):FMラジオにおいて使用され、88MHzから108MHzまでの範囲をカバーしています。この帯域は音質が優れており、地域密着型の放送に非常に向いています。
日常に溢れる電波
このように、私たちの周囲には多種多様な電波が存在し、それにより様々な通信サービスが実現しています。特にWi-Fiによるインターネット接続やスマートフォンを通じたコミュニケーションは、現代社会において欠かせないものとなっています。このそれぞれの電波の特性を理解することで、デバイスをより効果的に活用し、快適な通信環境を手に入れることができるでしょう。
5. 電波の利用には法律が関係している?知っておきたいルール

電波は私たちの生活に欠かせないコミュニケーション手段の一つですが、その利用には厳格な法律や制度が関わっています。この法律により、電波の利用は安全かつ効率的に行われ、干渉やトラブルを避けることが可能になります。ここでは、電波利用に関する主な法律や規制について詳しく見ていきましょう。
総務省と電波行政
日本では、電波の管理を担当するのは総務省です。総務省は、電波法に基づいて、周波数の割り当てや免許の発行を行っています。これにより、電波の利用は国の方針に則った形で適切に行われることが保障されています。具体的には、以下のような役割があります。
- 電波の周波数の割り当て
- 無線局免許の発行
- 技術基準適合証明(技適マーク)の付与
このように、総務省の役割は、電波の秩序ある利用を支えるための枠組みを提供しています。
無線局免許と届け出
特に業務用の無線通信や特定の周波数帯を利用する場合、無線局免許を取得する必要があります。免許申請に際しては、以下のプロセスが求められます。
- 事前の届け出: 利用目的や周波数、通信方式などを含む詳細な情報を提出。
- 審査: 提出された情報に基づき、電波が干渉を引き起こさないかなどの検討が行われる。
- 免許の取得: 審査を通過した後、正式に利用が認められます。
これにより、無線通信に関与する全てのユーザーが、法律に基づいて適切な手続きを経ることが求められます。
技術基準適合証明(技適マーク)
一般家庭向けのWi-Fi機器やBluetooth機器に関しても、技術基準適合証明が必要です。技適マークは、以下の目的を果たしています。
- 安全性: 電波を発信する機器が安全に使用できることを確認。
- 相互干渉の防止: 他の通信機器との干渉を避けるための基準を満たすこと。
特に家庭で使用する無線機器は、公共の電波を利用するため、法律に則った技術基準の適合性が重要です。
法律の重要性
電波利用に関する法律の理解は、私たちの生活やビジネスにおいて重要な役割を果たします。無線通信技術が進化する中で、これらの法律も随時更新されていくため、最新の情報を把握する姿勢が求められます。
- 電波の特性や種類に応じた正しい利用
- 干渉防止のための適切な機器選定
- 法律に基づく安全な通信環境の確立
こうしたルールを理解し遵守することで、より良い通信環境を築くことができます。
まとめ
電波の基礎知識や種類、それぞれの特徴と活用分野について詳しく解説しました。電波は私たちの生活に欠かせないコミュニケーション手段の一つですが、その利用には法律や規制が設けられています。適切な電波利用を行うためには、電波の特性を理解し、最新の法令に従って安全性と効率性を確保することが重要です。電波技術の発展とともに、これからもより良い通信環境の実現を目指していく必要があるでしょう。
よくある質問
電波の種類はどのように分類されているのですか?
電波は、その周波数によって超長波、長波、中波、超短波、極超短波、マイクロ波など、多様な種類に分類されています。これらの周波数帯域によって、電波の性質や伝播特性、利用用途が大きく異なります。例えば、長波は長距離通信に適しているのに対し、短波は世界規模の通信に適しているといった具合です。
スマートフォンやWi-Fiではどのような電波を使っているのですか?
スマートフォンでは主に700MHz〜3GHz台の周波数帯が使用されており、特に800MHz帯は建物内部でも安定した通信を実現できます。一方、Wi-Fiでは2.4GHz帯と5GHz帯の2つの周波数が使われています。2.4GHz帯は障害物透過性が高いため家庭内での利用に適していますが、干渉の可能性があるのに対し、5GHz帯は高速大容量通信に向いています。
電波の利用には法律が関係しているのですか?
はい、電波の利用には電波法などの法律が関わっています。総務省が電波の管理と割り当てを行っており、特定の無線通信には免許の取得が必要です。また、一般家庭用の無線機器にも技術基準適合証明(技適マーク)が義務付けられています。これらは電波の秩序ある利用と干渉の防止を目的としています。
電波の長波と短波の違いは何ですか?
電波の周波数が低い(長波)ほど波長が長くなり、地表面に沿って進みやすく、建物の陰でも受信しやすい特性があります。一方で高周波数(短波)の電波は波長が短く、直進性が強くなりますが、障害物の影響を受けやすくなります。長波は遠距離通信に適しているものの伝送容量が小さく、短波は高速大容量通信が可能ですが通信距離に制限があるといった具合です。